名古屋大学大学院医学系研究科医療行政学 浜島 信之 |
第25回日本疫学会学術総会開催にあたって
第25回日本疫学会学術総会を開催させて頂きますこと大変光栄に思います。今回のテーマは「医療行政から見た疫学研究、疫学から見た医療行政」です。疾病予防のためには疾病の要因を明らかにしてその要因に対応する施策が必要となります。わが国においては、要因探索研究に携わる疫学者は多いのですが、得られた疫学的エビデンスに基づいて疾病予防対策の企画に従事する疫学者はあまり多くありません。疾病予防対策は国の事業として実施されることが多く、行政に関与する疫学者が少ないため、しかたのないことかもしれません。科学的なエビデンスに基づいた対策が望まれますが、エビデンスが十分でない場合も多く、また事業化のためのルールが複雑であることから、疫学の学問領域とは異なる学問領域となっています。
私は2012年12月に名古屋大学大学院医学系研究科予防医学教室から医療行政学教室に異動し、この部局でアジアの保健省からの留学生に医療行政コースを提供しています。医療行政を学問として教える立場にあることから、医療行政の学問領域の理論と手法を学んでいます。日本疫学会の会員の先生にも、本学術総会で医療行政の学問領域の一端に触れて頂ければと思います。 国際化により英語教育の必要性が高まってきていることから、今回の学術集会では一般演題の抄録は原則英語と致しました。会場の都合からポスターセッションはなくし、すべて口演とし、また23日は1会場以上で英語セッションになるように致します。2017年にはわが国で国際疫学会も開催されることから、英語抄録作成や発表討議に少しでも慣れて頂ければと思います。
今回のプログラム委員長は愛知県がんセンターの田中英夫先生、事務局長は名古屋大学大学院医学系研究科予防医学の若井建志先生です。多くの先生からの演題申し込みをお待ちしています。